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「高校を卒業して自立できたら、どんな手を使ってでも会いに行こうと思っていた。なのに突然現れて、覚えていないくせに俺を好きになって。……高校時代、どれだけお前に振り回されたと思う?」
苦しそうに顔を歪める坂本先輩。
「心のどこかでお前も俺のことを覚えてくれていると思っていた。なのに、忘れられていてバカらしく思えて。……もう、忘れようと思った。いい加減幼い頃の初恋に縛られるのは、終わりにしようと。……それなのにお前はまたこうやって俺の前に現れて、簡単に俺の心を揺るがした」
坂本先輩が言っていることは本当なの? 本当に坂本先輩がきょうくんで、私のことをずっと想ってくれていて。
けれど私が気づかなかっただけで……。
「でっ、でも坂本先輩、高校時代は私のことなんて嫌っていたじゃないですか」
そうだよ、再会したはずなのに私を嫌っていたじゃない。
「当たり前だろ? 俺を覚えていないお前なんて嫌いだった」
なにそれ……!
「それにたくさんの人と遊んでいたじゃないですか!」
「なにもかも嫌気がさしたんだ。自分だけずっとお前を想い続けていたことに」
なによ、意味が分からない。じゃあ高校時代遊んでいたのは、私のせいだって言うの?
「私のことだけは抱けないって言ったじゃないですか……」
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