#13

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責め立ててしまう。 どれだけ私がこの言葉に振り回されてきたと思っているの? 坂本先輩はどんな想いで私にこんな言葉を浴びせたの? ジッと見つめたまま彼の返事を待つ。 すると坂本先輩は真っ直ぐ私の目を捉え言った。 「好きな女を抱けるわけないだろ? ……好きだからお前だけは抱けなかったんだよ」 「……っ!」 なんて人だろうか。 好きだから抱けなかったなんて――。 私……ずっと坂本先輩に嫌われているとばかり思っていた。 けれど違ったの? 本当はずっと好かれていたの? 私と同じ気持ちでいてくれたの? 感情は昂ぶってしまい、ポロポロと涙が溢れてしまう。 「なんですかそれ。……どうして高校生のときに言ってくれなかったんですか? それに私だってずっときょうくんに会いたかったです。会って聞きたいこと、話したいことがたくさんありました」 ずっともう一度会いたいと願っていた。 会って聞きたいこと、話したいことがたくさんあった。 「それにきょうくんと坂本先輩の名前違うじゃないですか! 姿だって全然変わっちゃっていて……。それなのにすぐ気づけって言う方が無理ですよ!」
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