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2月13日になると、家で戦争が始まる。
姉と妹に挟まれた僕は、それぞれの指南役として活躍中。
…と言えば聞こえがいいが、要するに体のいい小間使いだ。
「お兄ちゃん!チョコが溶けない!」
「湯煎の温度が低いんだよ。
もうちょい温度高めにして、でも高すぎるとツヤがなくなるから、様子見ながらな。」
「蘭!トリュフがかたまんない!」
「ああ!混ぜすぎ!もっとそっと!」
「お姉ちゃん、もっとそっちでやって!」
「うるさいな、あんたが後でやりなよ!」
ドタバタと毎年繰り返されるこの光景は、チョコが作り終わっても終わらない。
「お兄ちゃん!リボン結べない!」
「蘭!カーリングリボンが丸まらない!」
やれやれ、と思いながらこれも毎年のことでラッピングも手伝う。
「お兄ちゃん、ほんと男っぽくない!」
「蘭は女子より女子力高いもんねー。」
好き勝手に言い、それぞれの完成品を満足気に手にして部屋に帰っていく姉と妹。
残されたのは、キッチンの惨劇後だ。
「材料かなり残ってるじゃん。
チョコの神様のバチ当たるぞ。」
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