最終話

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 五日ほどして、待ち構えていたメールが届いた。あれから仕事も全然手につかなくて、毎日がひたすらに長く感じられた。  ――じれったい気持ちを優に悟られるわけにはいかない。  それだけを意識して平静を装い、この結果を待ちわびた。  好奇心なんていうものじゃない。怖いもの見たさなどというのとも違う。  ただ一つの捨てきれない不安を払拭したくて。早く安心したかった。それだけだった。  新着メールのタイトルを見て、心音が破裂しそうな勢いで鳴っている。ごくりと唾を飲み込み、雫は(・・)()メールを開いた。  結果を見て――  雫は上げそうになった悲鳴を無理やり手で口ごと塞いで押さえ込み、急いでトイレに駆け込む。決して優に聞かせるまいと、タオルを噛みしめ必死で嗚咽を飲み込んだ。  一睡もしないままに訪れた次の朝は、優を前に腫らした目を誤魔化せる自信もなく、 ”急な仕事が入ったので先に行きます”  という書き置きを朝食と一緒に残して早々に家を出た。
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