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「ふん。そういうことか。お前は俺には勝てない。だから強くなってから来い。その時は……」
私の耳には彼の言葉が入って来ない。だから勢いよく彼に二つのその木刀で襲い掛かったのだが、弾き飛ばされてしまった。
「相手してやるからよ?」
薙ぎ払われた際に放たれた言葉が嫌にでも耳に入ってきた。そして私は背中に打ち付けられた土を何度も拳で叩き込んだ。血が出ようが、痛くなろうが関係ない。悔しさの方が痛みの何倍も大きかったのだ。
その後の翌日の葬式の際の屈辱も私を懲らしめた。
「ねぇねぇ、あの子知ってる?家族を守りたいのに守れなかったんだって」
「あの子の慕っていたあの兄弟子も帰ってこないじゃない。弱さに嫌われたんじゃないのかなぁ?」
そんな私を批判する言葉。その言葉と共にあの男に復讐したい気持ちが高まる。
そしてその次の日に道場にも事件が起きた。道場内にいる人たちが斬り殺されていたのだ。弟子もそこにいた道場の使いの人たちもすべて。ただどこを見ても師匠の姿だけはなかった。私はしゃがみこみ近くにあった襖に力強く拳の裏を回して叩きつける。その襖は不気味な音と共に倒れ込んだ。
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