6話「ライバルに仇あり」

3/3
前へ
/21ページ
次へ
「あいつがやったんだ」と憎しみ混じりに声を荒らげる。そして長かった髪の毛をばっさりとその場で切って人形の形を作って宙に上げて斜めに真っ二つに斬り離した。 私は幾度となくそこで待った。師匠もあの男も帰ることはなかった。私は長い道を何も飲みも食わずに歩いていった。この二人を見つけるために。そして力が抜けて目を覚ましたらあの野原にいて現在に至るというわけだ。 「お前も強くなったようだな」 「あぁーー!!」 彼の言葉を打ち消すかのような叫び声を上げて私は襲いかかる。 「話は最後まで聞けよ?」 彼に綺麗に薙払われてしまう。 「殺す!!絶対にだ!!」 「そんなお前に朗報であり、悲報だ。ニセモノは赤い目をしているようだぜ。まるで俺と……」 「んぁあーー!!」 二つの剣が彼を激しく刻み込む。彼の体は赤い血が吹き出ていた。そして目の前にいた男は小さな声でこう呟く。 「ごめん……な」と。 そんな私たちを影から見ていたのか、一人の歳を取った男が森の奥から現れる。その男の手には一本の剣を持っていた。そして腰にもう一つの剣が刺さっていた。その姿を一目見て誰だか分かった。私の師匠だった。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加