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2話「これが死という現実だ」
野原を歩く私は手に持つその二本の剣を持つ。
そういえば師匠に二本持つのならそれなりの覚悟を決めて動けとか、よく道場で言われてたなと思い出しながら歩いていると私にめがけて銃弾が飛んで来る。
その二本の剣を片手に繋がるそれぞれの剣を駆使して銃弾を弾いていく。中には斬れている物もあるのだろう。手の感触によってそれが分かる。そしてその感触に触れるタイミングから考えるとそれは一つの銃口から発射されている物だろう。
「誰だ?」
「殺される者に名前を名乗る者がいるか?」
その声は茂みからだろう。何とも荒っぽい男の声だ。耳の中に入ってくるその声と撃ってくるその弾からして性格もそれなりに荒っぽいのだろう。だが、そんなもんはどうでもいい。私が知りたいのはニセモノか、そうじゃないかだ。それを教えてくれないのなら殺してでも戦ってやろうじゃないか?
ひたすら銃弾を撃ってくる。
「おい、女。さっさと死ねよ?」
「そうだな。時が来たら死ぬよ。だから……」
私は撃ってきた銃弾を交わしながら彼の前に近寄る。やはり茂みに隠れていた男はヤンチャな格好をして荒れくれた性格をしているのだろう。服装などからそんな感じだ。そして自分にどうしても命がかけられた時に必ず悲しそうで苦しそうな顔をする。命が惜しいからだろう。そして必ずこう言う。
「悪かった。やめてくれ」
その男もまたそれを今、口にした。
「やだね。私もそうだけど、君が苦しめたであろう人たちの思いも君と同じだったからね?先程の続きだけど……」
やはりまた話最中に撃ってきやがった。こういう奴は黙らせるしかない。
「先におねんねしてなよ」
私は茂みを貫いてその男の首を斬る。血とともに染みた複数の葉っぱが風に乗って舞っていく。私に画面を通してやっていたサバイバルゲームではなく、本当の生死を賭けた戦いが始まったことを再確認させるかのように。なぜなら目の前に赤い血を流した死体があるのだから。
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