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スカッシュ鶏
「私、さっぱりしたいの。分かる?」
風呂上り。濡れたをタオルで拭いた奏恵は、黒のキャミソールに通気性の良いショートパンツ姿で、食卓に偉そうに座り込んで言い放った。
これがただの嫁なら、"ひやむぎ"で義彦は済ませるだろう。しかし目の前にいるのは夫であるはずの自分を完全に敷物にしている奏恵という女なのだ。
気を揉むのは嫌いではないが、ここで慎重に考えるのは骨が折れる。
ふと、大学の講義で習った"ゲーム理論"をカーペット義彦は思い出す。
経済学の話だ。自分にとって最も利得となる動きをするために、相手の行動を何通りか予測したりと、いわゆる"先読み"の話。体育会系で勉強が苦手だったうえ、経済が専門ではない義彦からすればちんぷんかんぷんである。
…その時から、"人生は打算ではなく人情で生きるもの"と思うようになったのだろうか?否、それよりも前に柔道部はそういう男の集団だったからだろう。
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