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「程よい辛み。和風っぽくて食べやすい中華ね。」
試食をしてみた奏恵の一言。
「ああ。ちなみに汁物はクノールのわかめスープか卵スープがお勧めなんだよ。スープ手作りするより、普通に安いし美味しい。」
付け合わせのスープは、インスタントの方がお得だったりするのは事実。美味しいなら安い方を選ぶのが家庭料理も大事。
盛り付けたところで、ご飯、麻婆アサリ、わかめスープという"お手軽っぽい中華"の食卓に舌鼓を打つ義彦と奏恵。
手を合わせて食事を始める2人。義彦は食事中は自分からあまり喋らない。
「白いご飯と、結構合うわね。」
夫の料理に感心する奏恵。
「…他に、美味しい食べ方があるのかしら?」
麻婆アサリを掬っていたレンゲを置き、キッチンの方へ向かった義彦が棚から取り出したのは、市販のバターロールであった。パンを切る用のナイフもついでに戻ってくる義彦、椅子に座るや否や、バターロールの腹をナイフで切り、詰め物ができるようにした。それを奏恵に渡す。
「詰めればいいの?」「うん。」
言われた通りに、麻婆アサリをバターロールの腹に詰め、一口する奏恵。
「エビチリをみたいね。けど麻婆もいけるなんて気づかなかったわ。」
昔、USJで食べたエビチリとパンを奏恵は思い出していた。
「もう、料理は全部義彦に任せてもいいかしら?」
「家事は半分半分で当番制という事で結婚したんじゃないのか?」
「そうだったわね。私でもこれは作れそうだし、今度はエビをひき肉に変えてみても上手くできそうだわ。」
"中華の口"は満足したようで、奏恵はご機嫌そうだった。
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