18人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
「ひろッチ……ユウ……」
走り出した車に、オレは慌ててシートベルトを外す。膝立ちになると助手席の背面に張り付くようにして、降りた2人を見つめた。
中学の頃のダチである磐木祐志と、その親友の織田弘人。
遠ざかっていく2人に、「またやっちまった…」と後悔の思いだけが浮かぶ。
自分のバカさ加減には、呆れて涙が出そうだった。
「オラ、昭仁。ちゃんと座らねぇと危ないぞ」
前を向いたままの先輩、坂城克征が呆れた声を運転席から出す。それに「はい…」と返事しながらも、オレは居たたまれなさにガンガンとヘッドレストに頭突きした。
――誰か、オレのこのバカを直してくれ!
「やめろ、昭仁。俺の車が壊れんだろがよ」
冷ややかな先輩のセリフに、「うぅ…」と呻く。そしてヘッドレストを抱え込んだ。
「先輩、ここはウソでも俺の頭を心配してほしいっす……」
「ある意味してるよ。お前、頭大丈夫か?」
眉間に皺を寄せた先輩が、チラリとこちらに視線を向ける。
ユウに向けるのとは全然違う視線に、また落ち込んだ。
「それより昭仁。そろそろちゃんと座らねぇと、急プレーキかけて後頭部からフロントに突っ込ますぞ」
最初のコメントを投稿しよう!