二つの会話

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「なぁ、どうしていつも、ここで寝るんだ?」 「別にいいだろ」 「電源入れてないから、暖かくもないだろ」 「それでもここが、一番居心地が良いんだ。寝てたんだから話し掛けるなよ」 「ごめん。暇だったから、つい……」 「俺は暇じゃない」 「昼まっから寝てるんだから暇でしょ」 「寝るのが仕事なんだよ」 「……蜜柑でも食べる?」 「食べない。勝手に食べたら怒られる」 「こんなに沢山あるんだもん。一つくらいバレやしないさ」 「お前、本当にうるさいな」 「待って!! どこ行くの?!」  炬燵の中から猫が飛び出した。  猫は大きく背伸びをし、炬燵の上に置かれている蜜柑をじっと見つめた。 「ニャー」  そう鳴いて、再び炬燵の中へと入って行った。
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