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くそったれ。
僕はどんだけバカなんだ。
君は、どんだけ身勝手なんだよ。
君が。
君が居ない世界なんて、もう考えられなくなってるんだよ!
神様。
どうか、彼女を
僕の千秋を無事に帰して下さい。
千秋の笑顔が見たいよ。
神様!
***
10月。
あれから一年。
お父さんからはわりと細やかに連絡を貰ってた。
手術は成功。
生命に危険はもうないらしい。
千秋は、爆弾に勝ったんだ。
術後の処置やらリハビリやらで、ずっとアメリカに居たんだけど、つい先日、帰国して、かかりつけの大学病院に転院してる。
結論を言うと、彼女の記憶はない。
家族すら忘れているほど
見事に記憶が抜け落ちているらしい。
でも、僕は待つんだ。
あの日、千秋が言った言葉を信じてる。
「また逢おうね。行ってきます。」
だから今日も
僕はここで座って、帰りを待ってる。
世界中にひとりくらい
こんな王子様、居てもいいだろ?
僕のお姫様が
目覚める日を夢見ながらね。
ほら。
金木犀のにおいが。
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