One day in autumn

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僕は、ついに講義が終わるまで、横目で彼女を追うのをやめられなかった。 *** 「海くーん!」 12月。 大学構内の銀杏並木を下校中、今はもう聞きなれてしまった声が、後ろから追いかけて来た。 僕は大きくため息をついて、いつものように振り向きもしないで歩く。 突然背中に柔らかい衝撃と金木犀のにおい。 「どーん!」 「わゎっ!何すんだ!」 体当たりで抱きつかれ、つんのめるのをこらえながら、それでも彼女を守らなければと、結果、おんぶすることになる。 ふくよかな背中の柔らかさに顔が紅くなる。ミニスカートじゃん。生足。ふえぇぇ。 回りから冷やかしの指笛が鳴り響く。 「危ないだろ?!」 「へへー。やっぱやっさしいなぁ。ちゃーんと受け止めてくれるんだもんねー。」 おんぶした背中越しから耳元に話されて、背中のおっきな柔らかさも相まって、真っ赤になる。 あれから 千秋とはこうして時々、突然の邂逅を果たす。 いつだって突然。 学科もどこに住んでいるのかも知らない。普段どこに居るのかも知らない。同じ大学に居るにもかかわらず、不思議とぜんぜん逢わないからだ。 でも、こうして出逢うと、いつも僕は、すっかり彼女のペースに巻き込まれることになる。 身勝手で、無邪気にわがままな、彼女のペースに。     
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