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踏み出すだした第一歩の感触は硬い地面の感触ではなく、ムニュと柔らかい感触だった。スライムだ。透明に近い青のプルプルした体を持ち、不格好な山のような形を普段ならしているスライム。でも、今は私に踏みつけられペッタンコの状態になっていた。
「ごめんなさい! 大丈夫ですか!? ……じゃない! 私は冒険者。遭遇した魔物は倒さないと!」
冒険者の仕事は薬草採取だけじゃない。魔物討伐もあるのだ。
「スライムの倒し方は……体の中にある核を潰す。核は脆く剣を軽く一振りすれば潰せる。なんだ、簡単。脆い核を潰すだけなんて。えー、核、核。核、え?」
私は図鑑片手に腰に下げていた安物の剣を抜き、スライムの核を探す。核はどこかなー? このあたりかなー?なんて気楽に探していると、突如スライムが口を開けて襲い掛かってきた。
「きゃあ! 危なかった。突然襲い掛かってくるなんて。って、ああ! カゴが! カゴが溶けてなくなってる!?」
スライムの攻撃を間一髪で私は躱すことが出来た。でも、近くに置いていた薬草を採取したカゴは直撃を食らっていた。そのカゴは文字通りスライムに食べられ、跡形もなくドロドロに。
「図鑑、図鑑! えーと、スライムの体内は強力な酸性を持つので注意!? さっきの攻撃がもし体に当たってたら……」
もしさっきの攻撃が私に当たっていたら……。ううっ。考えただけで寒気がする。肉も骨もドロドロ……。
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