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二話 ある日森の中で ②
「グオオォオォオォォ!!」
ミイナはスライムから逃げ出した。しかし、ドラゴンに捕まってしまった。
「ひえええぇぇ! な、なんでドラゴンなんかが!?」
炎のように赤い鱗に赤き目。その燃えるような双眸は私を捉え、敵意の炎を灯す。
「グルオオオォォ!」
ドラゴンが再び咆哮する。その咆哮は私に現実を突きつけた。どこか信じられなかった目の前のドラゴン。これは夢か、なんてさっきまで思っていた。でも、違う。これは現実。今、私は目の前のドラゴンに狙われてる。
「あ、あ、ああ……」
言葉を発することすら出来ない。立っていることすら出来ない。私は地面に力なく座り込み、ただドラゴンを見ていることしか出来なかった。
なんでこんなことになったんだろう……。この森は整備されていてゴブリンすらいないはずなのに……。
私は今までのことを思い出していた。笑ったこと。泣いたこと。昨日食べたもの。一昨日したこと。冒険者になると決意した日のこと。
そんな過去の日々もこれで無意味になる。もう終わっちゃうの? 私の人生。
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