三話 ある日森の中で ③

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 あれ食べられてるよね!? 結構ガッツリ食べられてるよね!? 何回も咀嚼されてるよね!? でも、すごく軽い感じで話しかけてくるし、あっ。もしかして、あの咀嚼に見えてるのは実は甘噛みで全然何ともないのかも? なーんだ。ドラゴンとのスキンシップかぁ。アハハハ。 「ん? 声が外から聞こえるってことはあんたは食われてないのか。いやー、よかった。よかった。俺のせいで死んだなんて祟られたらかなわねえしな」  その人物はあっはっはと食べられながら笑う。うん。やっぱりスキンシップだよね。そうじゃないとあんな軽く笑えないもん。 「えー、えーと、あの、大丈夫なんですか?」  でも、一応確認をしておこう。見るからに大丈夫そうじゃないけど、声は大丈夫そうだし、多分大丈夫なんだろう。 「ああ、大丈夫大丈夫。俺不死だし」 「ふ、不死?」  ふし。不死? 不死ってなに? 不死だから大丈夫? 不死って言うことは死なないから大丈夫ってこと? それとも大丈夫だから死なないということ? うん、分からない。でも、なんだかその人が言う「大丈夫」って本当に大丈夫な気がするのは不思議。 「そうそう。俺不死だからこの程度じゃ死なねえ……、って、そろそろ鬱陶しいな。おら、出せ」 「!? ギャオオォオ!!」  突然、ドラゴンの口の中からべキッという鈍い音が響く。その音が響いた後、ドラゴンは大きく口を開け、呻き、悶だした。  そして、開かれた口の中から先程からの声の主が現れる。     
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