495人が本棚に入れています
本棚に追加
一話 ある日森の中で
「えっと、これが薬草で、これが……薬草?」
柔らかな木もれ陽が差す森の中、私は草花と分厚い図鑑をにらめっこしていた。
「うん薬草。うん。うん? あれ、これちょっと模様が違う? えーと、これは……毒草!? 薬草とよく似た見た目だが、斑点のような模様があり、毒を持つ!? ……え。いままで採った半分ぐらい毒草……」
なんかこの薬草変だなーと思い図鑑を見てみるとなんとよく似た毒草があるなんて書いてあった。カゴの中には見た目薬草がいっぱい。でも、いざ確認してみると毒草もあった。毒草、毒草、薬草、毒草、毒草、薬草……。……半分以上が毒草だった。
「ああ、もうやだな……。こんな初歩的なことすら出来ないなんて。……私にはやっぱり冒険者なんて無理なのかな」
薬草と毒草を見分けられない冒険者。薬草で回復しなきゃ! ぐはっ! 毒草だった……。無念……。……嫌な将来が見えたような気が。
「冒険者に向いてる、向いてない、向いてる、向いてない……」
最初のコメントを投稿しよう!