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コツコツとハイヒールの音を響かせて、街灯の明かりを全身に浴びた女が目の前に現れた。
首から下は美雪。頭は杏珠。愛した女と憎んだ女が合体した生物がそこに立っていた。
「ごめんなさい、こんな服しかなくって……。直之はこんな下品な服、嫌いよね?」
口を真っ赤に染めた杏珠の首が言った。二人の人間の繋ぎ目から、血が滴っている。
直之は狂乱して、再び逃げ出した。
背後から追いかけてくるハイヒールの音が、夜の街に響く。
〈了〉
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