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そこからの話は口の動きで読むのは難しかったが早苗姉の顔色と視線から少女の紹介がなされているのが分かる
続いて、俺の説明か。まあ、どこかではしなければならないだろうなとは思っていたからこれがいいんだろう
その後の自己紹介も一通り終わった後、俺とそのサングラス少女が廊下へ呼び出された
俺に席の順番通りに生徒の名前が書かれた紙を渡してくれた。口の動きだけで分かるのにも限界があるから非常にありがたい
早速目を通してみると、やはり隣の少女は安登家美沙で合っていた
そして既にノートに何か書いていたらしい早苗姉はそのノートを見せてきた
『彼女は│安登家美沙』
知っている
『安登家さんは目が見えない』
白い杖である程度想像してたが、やはり驚きはある
思わず彼女の顔を見た。無論、彼女にその行為が分かる訳がない
そしてその後、長いこと書いてた早苗姉から渡されたノートの内容は印象深いものだった
『安登家さんも1人暮らしをしたいと思ってる』
『でも、現実には無理』
『見えないという事の不利は支障が大きいから』
『それは耳の聞こえない水速くんも同じ』
『だから』
『君の目となりあなたの耳となる』
ここから何が始まるんだろう。何が起こるんだろう。ふと、そんな感情が胸によぎる言葉だった
『その為、あなた達二人には一緒の部屋で暮らしてもらいます』
そんな言葉が後に続いてた事に更なる驚きがあった
ちょっと待って!?彼女は女で俺は男で!?
え!?いいの!?
そんな気持ちで隣を見れば何の反応もなかった
説明がされてないだけかと思ったが早苗姉がサングラス少女改め安登家さんに話しているのが見えるから分かっているはずだが
あの?なぜそうも無心なのですか?
気づけば、そう口にしていた
それに気づいたのは安登家さんがこう言っていたから
「別に」と
そして、早苗姉を通じて俺からノートを渡す前に口にしていた言葉が『ノート』だと理解した時、彼女はこう書いていた
『私の事は空気くらいに思ってくれていい』
目の見えないながらにノートの横線通りとまではいかないまでも1枚の紙に普通の女子高生が書くような小さな字で綺麗に書くのにどれだけ努力したんだろうとか、そんな事以上に突き放す態度に驚いていた
それはさしずめ『君のクラスメイトとなり、あなたの空気となる』のように思えたから
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