第三章 医師免許

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「話しなんかない、帰ってよ。警察呼ぶよ」 「いや、その、昨日は誤解があったみたいで」 「何が誤解なわけ? あんなにベタベタと」 「びっくりして触っちゃったんだよ。タトゥー」  私は右袖を少しまくり、タトゥーを見せた。 「これが何か?」 「その……。タトゥーに興味があってね」 「タトゥーを入れたいの?」 「違うよ。とんでもない」  瀬木は勢いよく、首を横に振った。  何しに来たんだ、コイツは――。 「じゃあ、帰ってよ」 「違うんだ。いい話しを持ってきたんだよ」 「いい話し?」 「僕のクリニックを手伝わないか?」 「はぁ?」 「免許持ってるんだろ、看護師の?」 「……。昨日の話し、聞いてたの?」 「あれだけ、大きな声で言い合ってれば、そりゃあね」 「看護師には戻らないからね」  それに私が持っている資格は准看護師であると、瀬木に伝えたが、意に介していない様子だった。 「今、君の仕事、ピンチだろ?」  瀬木は不敵な笑みを浮かべた。 「……どういう意味?」 「君の仕事というよりは、この業界自体かな」  瀬木はポケットから折りたたまれた一枚の紙を取り出し、私に手渡した。新聞記事のコピーだった。それには見覚えがあった。
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