こたつ

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「どっか行くの?」 飛んできた言葉に湊を見下ろす。 聞いてきたくせに、ゲームをする手は一向に止めない。聞くだけ聞いて、興味ない。そんな感じ。 だから私も彼を視界から外して、振袖姿のお笑い芸人を見る。 「ちょっとね」 「買い物?」 「そんな感じ」 「コーラ買ってきて」 「ゼロ?」 「赤」 わかってはいたけれど、一応確認。 本当は少し、『一緒に行くよ』などと言ってくれるかな、なんて期待をしていないこともなかった。 私はコーラ専用自動販売機かよ。 誰にも聞こえないように舌打ちをし、暗めの茶色のダッフルコートを羽織る。ズボンだけ履き替え、中の服が見えないようにファスナーを上まであげる。スッピンでいいか。 餅って…、コンビニにはないっけ。スーパー? ぜんざいでもしようかな。砂糖醤油で食べるのも美味しそう。海苔なんか巻いちゃって。 膨らむ妄想と共に家を出る。
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