第2章 澪蘭、隋へ行く

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私は、今庭っぽいところにいる。 周りを見回す。見覚えのある建物がズラッと並んでいる。 「ここ、奈良なんじゃ...」 そしてここはおそらく法隆寺だ。聖徳太子とか出てくるんじゃないか? (とにかく、誰か探さないと。) 私はこの建物の中を歩き回ることにした。自分の服が現代で着ている服だ、ということに気付かず。 (誰かいる!) いかにも聖徳太子って感じの服装の20歳くらいのイケメンが、五重塔の前に立っている。 「あの...」 と声をかける前に、 「君、誰?」 と聞かれた。 「あの、私、黒崎澪蘭です。あの、この服見てもわかると思うんですけど」 私は、この時代の服を借りるために、この人には言っておこうと思った。 「私、未来から来たんです。」 「へぇー。」 その人は無関心。全く驚いた様子もない。 「驚かないんですか?」 「まあね、僕は厩戸皇子。よろしくね。」 その男の人はそう名乗る。 厩戸皇子??それって、聖徳太子...だよね?マジで?? 私の方が、驚きを隠せない。 「あ、僕これから宮廷に出かけるんだけど、澪蘭ちゃんも来る?」 なぜ私が行かなければならないのか、と疑問に思ったが、本物の宮廷に興味がない訳では無いので、行くことにした。 「あ、でも、この服だとさすがに怪しまれませんか?」 今の私の服はTシャツにショートパンツ。どう考えてもこの時代ではおかしい。 「じゃあさ、この服に着替えてきてよ。」 そう言って、一着の服を取ってきた。 「これ、僕の昔着てたやつだけど。」 「ありがとうございます!」 「あ、そうだ。実は澪蘭ちゃんにぴったりの偽名を考えたんだ。本名じゃ入れてくれないと思ったから。あと、男のふりしてね。女だと多分追い返されるから。」 ...つまり、私は偽名を使って、男のフリをしろというのか。 「...わかりました。で、その偽名はなんていう名前何ですか?」 「...小野妹子。」 ...どこかで聞いたことのある名前だ。まあ、いいや。男っていう設定なのに女っぽいし。 「でも、私童顔だからバレませんか?」 「大丈夫大丈夫、あの人そういうの気にしないから。」 本当かな…?不安だ。 とにかく私は、用意してもらった服に着替え、髪型を整え、宮廷に出発した。
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