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私は、今庭っぽいところにいる。
周りを見回す。見覚えのある建物がズラッと並んでいる。
「ここ、奈良なんじゃ...」
そしてここはおそらく法隆寺だ。聖徳太子とか出てくるんじゃないか?
(とにかく、誰か探さないと。)
私はこの建物の中を歩き回ることにした。自分の服が現代で着ている服だ、ということに気付かず。
(誰かいる!)
いかにも聖徳太子って感じの服装の20歳くらいのイケメンが、五重塔の前に立っている。
「あの...」
と声をかける前に、
「君、誰?」
と聞かれた。
「あの、私、黒崎澪蘭です。あの、この服見てもわかると思うんですけど」
私は、この時代の服を借りるために、この人には言っておこうと思った。
「私、未来から来たんです。」
「へぇー。」
その人は無関心。全く驚いた様子もない。
「驚かないんですか?」
「まあね、僕は厩戸皇子。よろしくね。」
その男の人はそう名乗る。
厩戸皇子??それって、聖徳太子...だよね?マジで??
私の方が、驚きを隠せない。
「あ、僕これから宮廷に出かけるんだけど、澪蘭ちゃんも来る?」
なぜ私が行かなければならないのか、と疑問に思ったが、本物の宮廷に興味がない訳では無いので、行くことにした。
「あ、でも、この服だとさすがに怪しまれませんか?」
今の私の服はTシャツにショートパンツ。どう考えてもこの時代ではおかしい。
「じゃあさ、この服に着替えてきてよ。」
そう言って、一着の服を取ってきた。
「これ、僕の昔着てたやつだけど。」
「ありがとうございます!」
「あ、そうだ。実は澪蘭ちゃんにぴったりの偽名を考えたんだ。本名じゃ入れてくれないと思ったから。あと、男のふりしてね。女だと多分追い返されるから。」
...つまり、私は偽名を使って、男のフリをしろというのか。
「...わかりました。で、その偽名はなんていう名前何ですか?」
「...小野妹子。」
...どこかで聞いたことのある名前だ。まあ、いいや。男っていう設定なのに女っぽいし。
「でも、私童顔だからバレませんか?」
「大丈夫大丈夫、あの人そういうの気にしないから。」
本当かな…?不安だ。
とにかく私は、用意してもらった服に着替え、髪型を整え、宮廷に出発した。
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