第2章 澪蘭、隋へ行く

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「やっと連れてきたか。」 そう言ったのは、この時代の天皇、推古天皇だった。 「遅くなってしまい、申し訳ありません。こちらは、私の友人の」 「お、小野妹子です。」 私は慌てて自己紹介する。 「ほう、かなり幼い子供のようだが、本当に大丈夫なのか?」 推古天皇は、どうやら私を女だとは思っていないようだ。 「ええ、この人は、見た目の反面かなり優秀な方です。」 そう、彼は私が未来からやって来たという理由だけでここに連れてきたのだ。どうして連れてきたのかは分からないが。 「そうか。なら、隋の皇帝にも気後れせず文を渡せるか。」 「...どういうことですか?」 「...何も知らないのか?そちには、遣隋使として隋に渡り、皇帝にこれを渡して貰いたいのだ。」 ...エェエェエェエェエェエェエェエェエ(゚Д゚ノ)ノエェエェエェエェエェエ! 私に歴史の授業の記憶が戻ってきた。遣隋使、小野妹子って...。 教科書に出てくる小野妹子って、私のことだったの? 混乱を隠せない私をよそに、話を続ける二人。 「というわけでだ。お前には港まで案内をしてもらうぞ。明日出発だ。」 「承知いたしました。」 もう行くことはやめられないのか...。 確か、小野妹子は日本の手紙を持っていって皇帝に怒られたんだったっけ? 私、皇帝に怒られる...怖い。。 「と、いうわけで、明日はよろしくね。頑張って。」 そんなことなど微塵も知らない聖徳太子は、のんきにそんな激励をかけるのだった。 (...全然眠れない...) 私は今法隆寺の一部屋を貸してもらって寝ているのだが、緊張しすぎて全然眠れていない。 「おはよう...どうしたの?そのクマ。」 「昨日、全然眠れませんでした。。」 「大丈夫?朝ごはん食べたら行くよ。」 現代日本ではあまり無い、爽やかな朝。 やはり昔は、今と違って空気がいいな。 これからとんでもない重要任務が待っているというのに、私はのんきにそんなことを思っていた。 私は、そもそもどうして過去にやってきたのだろう。 そもそも、歴史では私がタイムスリップすることになっていたんではないか。 未来は、変えられないんじゃないか。 そんなことを考えながら、ついに出航の時。
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