― Prologue ―

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― Prologue ―

――PM 20 : 46 東京郊外―― 「最初の勢いはどうした。お前の力は、そんなものか?」 言葉を発した人物は、パーカーを被りフルジップアップしているせいで顔が窺い知れない。服の隙間から覗く眼光は鋭く、野獣のような印象を感じさせる。 「ち、ちくしょう……ッ! まだだ……まだ勝負は終わってない……ッ!」 一方、対峙する相手はブレザーの制服を着た男子学生。肩を上下に揺らし、肌寒い季節にも関わらず額に汗を浮かべていた。 状況を説明するに辺り、明らかにおかしな点がある。パーカーの人物を守護するように立つ者達―― 1人は屈強な肉体の男。西洋騎士の如く蒼き甲冑を身に纏い、左手には巨大な盾を、右手にはこれまた巨大な戦斧を携えている。 もう一人は若い女性だったが、白銀の槍を背負い、手綱を付けられた全長にして3メートルはあるだろう『翼竜』に跨っていた。
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