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「げっ……月乃……」
顔を引きつらせる俺に対して、近所に住む幼稚園からの幼馴染【葛山 月乃】は腕組みをしたままニッコリと微笑んでみせた。それが逆に恐い。
「私、メールしたよね。今どこにいるのかって。既読スルーとか、ありえないんだけど」
長い付き合い故に分かる。こいつは今、本気で怒ってると。なんとか誤魔化す方法はないか考え、とりあえず「送れてなかったか? すぐに返事したつもりなんだが、おかしいな。スマホ故障しちまったかな」と言っておく。
対して月乃は「ふーん」と言って勝手に俺のスマホを奪い、何やら操作を行う。
「今の言葉、送信フォルダには一文字も存在してないけど?」
こいつは何で俺のパスワードを知っている?! 本当に恐ろしい奴……
「今日こそ部活に来るんでしょうね?」
やっぱりその事か。こんな身体で部活に出て、一体何をしろと言うんだ。
「腕に負担かけない練習メニュー組んでるわよ。最近、病院にも通ってないって聞いた。本気で治すつもりあんの?!」
月乃はバスケット部のマネージャーをしており、いつも俺に部活へ参加しろと声をかけてくる。大会が近いのは分かるが、俺を誘うよりもっとすべき事があるのではないか。
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