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「やる気を見せなさいよ! あの頃の涼平は、すごく生き生きしてたじゃない!」
……やる気、か……
朝日が昇る前から手元が見えなくなるまで練習に没頭した日々。履き潰したバッシュの数は両指を軽く超える。
小学生の頃、初めて出場した試合。SF《スモールフォワード》というポジションを与えられた。
得点をあげる度に仲間との絆は強くなり、勝ち続ける度に周囲は歓喜してくれる。その期待に応えようと必死で頑張ってきたのだが……
今の俺には何もない。その、やる気ってヤツも。
「私も空哉も、絶対に諦めないからね……!」
月乃は俺のスマホを机に叩きつけて自分の教室へ戻っていく。
「何事?」「痴話喧嘩?」という周囲の声を無視して、俺はスマホの安否を確認する。壊れてないだろうな、全く。
……今更、顔なんて出せるかよ。ほっといてくれ、俺の事なんて……
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