― Prologue ―

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制服の彼は握りしめていたスマホを操作し、叫びながら画面をタップ。 「ここで俺の切り札だ……! いくぞッ!!」 スマホから光が立ち上る。同時に光の粒子が集まり、人型に形成された次の瞬間―― 何もなかった場所に、チャイナ服姿の女性が出現した。健康的な太腿がスリットのせいで露わになっているのも構わず、中華娘は片足をあげて戦闘態勢を行う。 「スピード4000の雅は、重騎士の2倍速ェ! 2回攻撃で更にスキル発動だァ!」 『冥躰双燕脚(めいていそうえんきゃく)!!』 跳躍し、空中で横回転を行い遠心力を加えた強烈な二段蹴り。鈍い音が響き渡ると同時に粉塵が舞い上がった。 「冥躰双燕脚は通常攻撃の3倍ダメージを与える! 続けろ、雅ッ!!」 『天輝掌(てんきしょう)!!』 相手の鎧に両掌を添え、0距離から攻撃を与える。中国武術の八卦掌(はっけしょう)のようなものだろうか。 流れるような連続攻撃に、重騎士も為す術なしと思われた。しかし―― 「……なん……だと……?!」 表情を変えず立つ相手の姿に、制服の男は驚きを隠せない。青ざめた彼の表情は、酸欠状態を起こしたように紫色へ変わっていく。
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