5人が本棚に入れています
本棚に追加
「――――――ッッ!!!!」
声にならない声を出し、自分の身体が跳ねた事で我に返る。暗がりの中、天井が見えた。どうやら天国ではないらしい。
早鐘のように鳴る心臓を押さえつつ、辺りを見渡す。道路ではない、ここは……俺の部屋……?
半身を起こし、額にかいた汗を拭う。指先が未だに震えている。全て夢だったというのだろうか。一体、どこからどこまでが? 実際そうだったとすれば、今まで見た夢の中でもダントツの怖さと言えよう。
喉がカラカラに乾いている事に気付く。思い切り噛み締めたのか唇が切れていた。咥内に広がる血の味に眉間を寄せつつ、ようやく落ち着きを取り戻したその時――
枕元に置かれていたスマホが振動を起こす。そんな些細な事でさえ、背中が震えた。
青白く光る液晶画面。送られてきた文章を見て、更に驚愕する。
『自分に何が起こったのか、分かっていないだろう?』
誰だ? 差出人を確認するが何も表示されていない。そんな事、可能なのか?
俺がどんな夢を見たのか分かっているような口振り、そして目覚めるのを待っていたかのようなタイミング。悪戯か? だとすれば悪趣味にも程がある。
もしや、新手のウィルスでは……そんな不安を感じた時、更にメールが送られてきた。
『教えてあげよう。否、君は知らなければならない』
最初のコメントを投稿しよう!