―日常編―『崩壊と邂逅』

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意味不明な内容に、俺はイラっとした。知らなきゃいけない? 付き合ってられるか。 スマホの電源を切ろうと試みるが、ボタンをいくら長押ししても電源が消えない。間違いなく故障だ。面倒だが、明日にでも修理に出さなければ。 布団へスマホを叩きつけ「ツイてねぇ」と文句を垂れた時に部屋の扉がいきなり開く。 「涼平、いつの間に帰ってきてたのよ。玄関に鍵がかかってたし、いないものだと――って、ちょっと! 何それは!」 姿を現したエプロン姿の母は、俺の足元を見るなり怒りの形相を作る。何事かと思い視線を下ろすと、靴が履きっぱなしな事に気付いた。 「どこの外国人よアンタは! 部屋が汚れるでしょうが!」 慌てて靴を脱ぐ。まさかこの年になってまで母親に怒鳴られようとは。 ……というか、ちょっと待て。今何かおかしな事を言ってなかったか? " 玄関に鍵 " ……ではどうやって帰ってきたんだ? しかも " 靴を履いたまま " で。 腕時計を確認。PM18:55……商店街にいたのは18:15。どういう事だ? これも夢なのか? そうではないのか? 『――自分に何が起こったのか、分かっていないだろう?』 文章の内容を思い返し、俺は裏返しになったスマホをジッと見つめた。
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