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「悪夢から生還? 何言ってんの?」
丁度いい、月乃達にも話を聞いてもらおう。俺は今日起こった(のかどうかは謎だが)出来事を全て話してみた。うまく説明出来たとは思えないが、それでも2人は最後まで黙って話を聞いてくれた。
「意識が飛んだ瞬間に違う場所へ……トラックにぶつかったと思ったら部屋へ……」
広哉は口元を隠し、真剣な表情をしている。久しぶりだな、広哉が考え事の時に行う、お決まりポーズ。
一方の月乃は、まじまじと俺の顔を見ながら「大丈夫? 何かヤバい薬とかしてんじゃないでしょうね」などとぬかす。それに対して広哉が「いや、それはないよ。こんな手の込んだ作り話、薬物を使っても涼平には思いつけない」などとぬかす。「それもそうね」と納得する月乃。こいつら、ぶん殴ってやりたい。
「でも死ぬ夢っていうのは、悪い意味ではないらしいよ」
「そうなのか? 不吉な事の前触れとかではなく?」
「うん。これまでの自分と決別して新たな自分へと再生するという意味、だったかな」
「新たな自分……抽象的すぎて、あまりピンとこねぇな。バスケ以外の打ち込めるものを持て、みたいな事か?」
「は? バスケ辞めるとか許さないけど。涼平からバスケ取ったら何も残らないわよ」
「うん、それに関しては僕も全くの同意だけどね」
よし、分かった。こいつら殴ろう。
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