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「話を戻すけど、バスケ部に戻ってきなよ涼平。腕だって、かなり良くなったって聞いたし、それに……例の先輩も学校を辞めたから、気兼ねなく――」
「そういう事じゃねぇんだよ。単純にバスケがつまらなくなった、そんだけだ」
「なんでそんな嘘つくの? 涼平らしくないよ!」
俺らしいって何だよ。こっちの気も知らず、勝手な事ばかり言ってやがる。
そろそろこいつらを追い返してやろうと考えていた時、カンカンと階段を上ってくる音が聞こえてきた。このアパートは築30年の2階建て。家賃が安い分、老朽化が進んで見た目もボロい。俺ら家族以外で2階を使っている住人はおらず、つまり俺と母親以外が階段を上って来るとすれば配達員か訪問販売のみ。
そう思っていたのだが、俺の予想は見事に外れてしまう。
姿を見せたのは、美しい黒髪を風で靡かせる9等身美少女。
「……孤高の……嬢王……?!」
驚きの余り、二つ名を口にしてしまう月乃。それに対して八神火狩は何も反応せず、黙ってこちらへ向かってきた。
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