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車が走り去るのを2階から見送った後、改めて俺は広哉に聞いてみた。さっきの行動は何だったのかと。
「涼平は知らないの? 彼は数年前まで有名なアメフト選手だったんだよ。甲子園ボウル制覇、学生リーグMVP、プロ転向と同時にNFLへ挑戦したレジェンド。怪我をして海外では思うような成績を残せず引退したけど、まさかこんな場所で会うなんて」
怪我をして引退、その言葉に少し引っかかるものを感じた。とんでもない肉体の秘密は、アメフトで培ったものか。スポーツ全般に詳しい広哉の知識に感心する。
「あと、八神さんが何か言ってたよ。多分、涼平に向けてだと思うけど」
「何だ? 聞くのが怖いぞ。次会ったら殺すとかじゃないだろうな」
「いや、そういうのじゃなくて。えっと……
『アプリを開け』って。何の意味だか分かる?」
アプリ? なんだそれは。スマホの、あのアプリの事か?
「本当にアプリって言ったの? 聞き間違いとかじゃなく?」
月乃の言葉に広哉も「うーん、そう言ったと思うけど」と頼りない。それがどんな意味を持っているのか分からないが、俺のスマホは絶賛故障中だ。確認しようがないな。
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