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スマホから立ち昇る強烈な光。その眩さに、俺は手で目を防ぐ。
2~3秒の出来事だったと思う。ゆっくり瞳を開ければ、景色が変わっていた。これで何度目だ? もはや驚く気にもなれない自分が怖い。
ただ今までと違っていたのは、知っている場所ではなかった事。黒く広大な部屋の壁や床、天井に至るまで0と1の数字が白く動き続けている。電子、なんとなくそう感じた。
『……やっと来た。決断力が鈍い、これから先が不安ニャ……ね。』
妙に甲高い声が聞こえて振り返ると、そこにはシルクハットに燕尾服、片眼鏡をかけた猫型キャラクターが立っていた。クルクルと得意げにステッキを回している。間違いない、これは夢だな。
『夢になるか現実になるかは、全て貴方次第ニャーゴ……よ』
どうやら頭で考えている事も分かってしまう様子。まぁ夢だから仕方ない。というかお前は一体なんだ? ふざけた格好しやがって。
『私は貴女にとっての……そうね、死神かしら』
得意げにしている、こんなのが死神? 勘弁しろよ。というか喋り方、さっきから無理してるよな絶対。
『うるさい、無理なんてしてない。面倒だけど説明してやるから、黙ってこれを見ニャ……見なさい!』
猫がステッキを指し示すと、突然空中に映像が現れた。そこに映し出されたものは――
顔の半分を包帯で覆われ、呼吸器をつけて眠りにつく俺の姿。
『貴方はトラックに轢かれ、生死の境にいる。このままいけば確実に、死ぬ』
……は? こいつ一体、何を言っているんだ……?
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