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「持っている才能は、正しく使わなアカン」
意味不明な会話の最中、少年の隣にいた " もう1人の乗客 " が目を覚ます。年齢は中年を過ぎているだろう。所々に穴の開いた小汚いベストを着て、髪もボサボサ。くぼんだ瞳と痩せこけた頬が余計に貧相な印象を与えた。
恐らく " 薬の効果が切れた " のだろう。
「こ、ここ……は……」
「ようやくお目覚めか」
男に向かい、少年は満面の笑みを浮かべてみせた。
「おまえ……は……?」
「俺はアンタにとっての救世主や」
「……きゅうせい、しゅ……?」
「説明しよか。おたくは我々から金を借りたにも関わらず、期日になっても返済せぇへんかったんで拉致された」
「………………!!」
男の顔から、みるみる汗が噴き出してくる。
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