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「故郷が二分されるだけなら、まだなんとかなったんですがね……。そこに他所から来た業者や団体がつけこむようにして、入り込んできて……見かねた私の父親が牽制の意味も含めて賛成派の代表になったんです。父は、荒事の仲裁に入ることが多かったから」
「なるほど……」
ユウさんの説明に、寺鷹さんが頷く。
「その町の顔が前面に出てきたら、他所の人間はやりにくいでしょうからね。それも、賛成派につけば、あわよくばリゾート施設で旨味だけを吸い上げようと考えている汚い連中の牽制にもなる。賢いやり方だと思いますよ」
叔父様も似たようなこと言ってたっけ。
「そうですね。私も父のやり方は間違ってなかったと思ってます。でもね……」
ユウさんが、少し苦しそうに息を吐き──
「そんな父をよく思ってない人達も居ました。父を裏切り者だと……」
『ソラの父親も……そのうちの一人でした』
──ソラさんの……お父さんが……。
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