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「そう思います。父は父なりに故郷を守ろうと考えた末の決断だったと思ってます。ただ……目的は同じでも、そのやり方が違っていたんだと……そう思います」
ユウさんが、フッと顔を上げて、指差した。
「ああ……見えて来ました。あのお寺の奥です」
高台にあるお寺を指差しながら、ユウさんが「行きましょうか」と促した。
再び、私達は歩き出す。風が私達の間を通りすぎた。
「ソラの父親は、反対派の代表の一人になりました。『あのバカを止められるのは俺しかいない』──そんなことを言ってたそうで……」
歩きながら、ユウさんの過去の話も再び始まった。
「二人の幼なじみが仲違いして、町の亀裂はさらに広がっていきました」
「あの……」
ふと、気になることがあり、ユウさんに声をかける。
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