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 ジワリと、脚の付け根に熱っぽさが染み渡る。    「そこに触れているのは、アルトナルさまだと、そうお思いくださいませ」  寝台の脇に控える薬師は、わたしにそう言う。   「ほら、息を荒らげ、切ない声を上げていらっしゃるアルトナルさまのお声を、よく聴くのです……后よ」  その桃色のちいさき真珠を慈しんでくださっているのは、アルトナルさまなのです。  王子とて、本当は貴女さまにそうしてやりたいと、心の内ではお望みなのです。さあ……アルトナルさまのお慈悲を感じて、もっと感じて……ソウレイさま。  呪文のような薬師の囁きを、わたしは泣きながらも受け入れて、そして自らの指先を細かく蠢かせる。  ふつふつと膨れ上がる淫らな熱。  薄い産毛に隠された襞の内側は、暖炉に熔かされた蜜塊のようなぬるみにあふれ始めていた。  吐息に甘い声が混じり、わたしは思わずくちびるを噛みしめる。 「いいのです、ソウレイさま。声を上げて、さあ……」  煽る薬師の声は、頭の奥で激しく脈打つ鼓動にかき消されて、もうほとんどわたしの耳には届いていなかった。  内腿が、ビクリと痙攣する。   「ああ、ソウレイさま。今しばらく、しばらくお待ちを。まだ達してはなりませぬ、まだ、今しばらく」       
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