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わたしの身体が。
「ほと」の内が。
快楽に解れ、淫蜜に濡れそぼっていなければ、この「管」を奥深く胎の入口にまで挿し入れることは難しいからと。
薬師はいつも、「これ」をさせるのだ。
そして、わたしをこう諭した。
「夫婦の交わりにおいて。女性は、『気をやる』時にこそ子壺の入口が開き、きつく子種を吸い上げようとするのです。その時に子種が放たれれば、受胎が確かなところと相成りますゆえ」
ですから、どうぞソウレイさま。
自らで気を高め、王子と時を同じくして達してください……と。
薬師は、毎夜、閨でそう囁いた。
だから、わたしは。
ひとりのぬくもりでは、ほとんど暖まることのない広い寝台に横たわり、ついさっき、無下にもせき止められた悦楽の階段を駆け上がるべく、ふたたび脚の間のちいさなちいさな場所を弄って嬲る。
でも、どこか気怠い疲れが残っていて。
だからどうしても最後まで行きつくことができなくて。
「い…や、いや……ぁ」と、わたしはかぶりを振って声を上げた。
薬師が、わたしの陰珠に触れていない方の手を取り、それを寝着の胸元へと導く。
ああ。
この男は、この上、わたしに何をしろと言うのだろう。
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