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 その人望には、国王すらも嫉妬するのではなかろうかと。  臣たちが、半ば本気に憂うほどに、アルトナルは非の打ち所のない後継者だった。  そんな従兄を、わたしは幼い頃から眩しく見上げていた。  夏の日には、日差しが形作る、彼の髪の上の虹色の王冠の眩しさに目を細め。  雪の日には、彼の優しい微笑みに、わたしの心はあたためられた。  大好きで大好きで。  ただ、アルトナルにいさまの姿が見える場所にいたくて。  それだけでいいと、そう思いながら。  わたしの気持ちは、年を経るごとに募った。  彼を思う心は膨らんで、愛しさが溢れ出して止まらなくて。  時折、垣間見ることのできるにいさまの姿に身体と心を疼かせ、切なさに眠れぬ夜を過ごすようになった頃。  父のもとに、国王からの使者がやってきた。  わたしを、長子アルトナルの妻として迎えると。  その王命が下された時、父と一族の皆は、狂喜に目を輝かせた。  わたしの一族は、国王ラクナルの妻の係累だ。  わたしが、次の国王たるアルトナルの妻となり、そして子を孕めば、一族の立場はさらに強固なものとなる。  けれど、そんな(まつりごと)のことよりもなによりも。     
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