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淫楽ののちの虚脱にまみれ、ぼんやりと横たわるわたしの身体に、薬師が後始末をつけていく。
わたしの中から、手早く管を抜き取り、精の入っていた器とともに薄布で包む。
そして下腹部を上掛けで覆った。
彼は、わたしの汚れを丁寧に清めるようなことはしない。
無論、王子の后であるわたしの身体に、無闇に触れるわけにはいかないという理由もある。
でも、それは本当は、翌朝やってくる侍女たちに見せつけなければならないから。
アルトナルが、わたしを「妻として扱っている」ということを――
そして、隣室の始末を誰がどのようにつけているのかを、わたしは知らない。
*
アルトナルは、やさしい。
次期国王という多忙な身体ながら、折に触れては、わたしの顔を見に来てくれる。
わたしが将来の王妃としての学びや、その他、内向きの細々としたことに精を出しているような時には、むしろ古参の女官たちに邪魔にされ、
「おやまあ、夜までお待ちになれないのですか、アルトナルさま」と、からかわれたりもするほどに。
アルトナルが、幼いわたしを「后として尊重していない」などということは、決してなかった。
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