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アルトナルの首筋に縋りついて、わたしは固く目を閉じた。
瞼の裏に光と影がチラチラと交互して、わたしたちが建物の中に入り、回廊を進んでいることが分かる。
そして、部屋についた。
薄く目を開けると、そこはわたしの寝室だった。
そっとそっと、アルトナルがわたしを寝台の上へと下ろし、覆いかぶさるようにして瞳を覗き込んだ。
「……して、どうして」
くちびるから、ひとりでに呟きが洩れる。
「どうして、にいさま、わたしを……后に」
なぜ、わたしなのですか……アルにいさま?
そんな切なる問いかけに、気高き王子は、雄々しく美しいくちびるを微かに緩める。
「我とお前は、幼き頃からずっと『仲良し』であったろう? レイ」
「にいさま」
「可愛いお前、『にいさま、にいさま』と、そう言いながら、いつも我の後をついて来た。忘れたのか? 『大きくなったら、アルにいさまのお嫁にしてくださいませ』と。ソウレイ、お前がそう言ったのだぞ」
覚えている。
忘れたりしない。
ああ、でも本当に「そうだから」なの?
だったら、どうして、どうして……。
わたしは両腕を伸ばして、アルトナルの肩に抱きついた。
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