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8  薬師の言葉に、わたしの中で何かが弾けた。 「いやよ、こんなことは、もうたくさん」  わたしは薬師を押しのけ、寝台から飛び起きる。 「出ていって、早く! ここから、出ていきなさい」  自分でも驚くほどにきつい声音の言葉が、口をついて洩れた。  けれど薬師は、くちびるの端すら睫毛の先すら震わせることなく、寝台の脇に佇んだまま動かない。  ならばと。  わたしは、はだけた衣をかき合わせながら、廊下につながる扉へと歩き出す。  肩が、大きな手にきつく掴まれた。  薬師が、わたしの腕を取って羽交い絞めにする。 「ぶ…れいな……」  驚きと、そして得体のしれぬ怯えに、わたしの声はどうしようもなく震えた。  それでもわたしは、できうる限りの威厳を振り絞って、薬師に命じる。 「手を、はなしなさい」  けれど、わたしを捕える腕は、わずかも緩みはしなかった。 「痛い、はなして、いたい……たすけて、にいさま、アルにいさまっ」  わたしが、そう声を振り絞ろうとしたところで、口もとに薬師の掌が押し当てられた。 「気をお沈めください、ソウレイ様……」  薬師が言う。     
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