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「やはり后は、この『香』とは相性が良くていらっしゃる」
ひとり言めいて薬師が呟いた。
「これから宵には、必ずこれを用いることとしましょうか」
薬師は、わたしの手首を掴んだまま、微塵もその力を緩めない。
わたしの指は糸人形が操られるようにして、ほとに淫戯を施し続ける。
貫くような、いつもよりも、きつい快感。
淫らな啼き声が、口をついて止まらない。
「ああ……ソウレイ様、今宵は、大層『佳く』おなりで」
薬師が言う。
そしてふと顔を上げると、続き部屋の扉を一瞥し、
「アルトナル王子におかれましても、今日は甚だしくお乱れになられていらっしゃるご様子……」と、ひどく下卑た言葉を、ごく淡々と口にして見せた。
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