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9  いくら夏の明るい夜とはいえ、とうに夜半を過ぎた刻限。  気も力も使い果たし、手淫の動きも止まりそうになるのを、薬師は許さない。  わたしの手が、力尽きて敷布の上に滑り落ちる度に、手首を取ると女陰に引き戻した。  そして、 「さあ、もっと指を動かして……」と、低い囁きでせかす。  もうできない、疲れたの。  かすれる声で、わたしは訴える。  けれど、胸の内ではもうすっかり、そんな泣き言は無駄だと知っていた。  すると、薬師が何かを取り出す。  ごくごく小さな、火箸のようなものだ。  薬師は「それ」で、わたしの淫珠を挟むと、ぐっと押し上げる。  そうやって、皮を捲るようにむき出しにされた小さな種子は、ただそれだけで、まったく新たな快楽を発し始めた。  腰が脚が、ぶるぶると小刻みに震えて止まらない。 「そら……こうやってやわらかな肉の覆いを剥いてやれば、麗しき真珠も悦んで、さらに膨らみを増すのですよ、ソウレイ様」  わたしには見えない「その場所」の様子を淡々と口にしながら、薬師は、また何かを手に取った。  水晶を削り出した細い棒。  先端が少しだけ膨らんでいる。  薬師はそれを、むき出しの部分に押し当てた。     
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