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 すぐさまアルトナルの手が、わたしの背へと伸ばされる。  片腕で抱きかかえるようにして、アルトナルが、わたしをその胸に寄りかからせた。  耳元にアルトナルのくちびるが近づく。  わたしの心臓は、もう張り裂けてしまいそうなくらい鼓動を速めていた。  そしてアルトナルは、わたしの耳朶にくちづけんばかりに顔を寄せ、こう囁いた。 「神々の御前で、お前と夫婦の誓いを交わすにあたって、どうしても言っておかなければならないことがある……そのうえで、この話を受けるか否かを決めてくれ、ソウレイ」 「にいさま?」 「だが、その前に……我の妻となるにせよ拒むにせよ、今、我がお前に告げることは、一生、誰にも洩らさぬと誓ってくれ。良いな?」
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