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「地面にたたきつけられる前に、私が腕をお支えした。それほどひどい落馬ではない」と応じる。 「だが后は、そのまま気を失ってしまったのだ」  シグルドを遮るようにして、アルトナルが続けた。 「薬師よ、もしや……」  アルトナルは、その黄金の鷹の瞳を、険しく眇める。 「もしや后には、『やや』ができていたのではなかろうか……ああ、馬に乗せたりなどすべきではなかったのだ。顔色が優れないようだから、少し外の空気に触れるのもよかろうと、そう思ったのだ。だが、我の判断が誤っていた」 「いいえ……アルトナル様、そのようなことは、決して」  シグルドが、その逞しい腕をそっと王子の肩へと伸ばした。  アルトナルの繰り言を聴いているのかいないのか、薬師は無言のまま、ソウレイの脈を取り、肌に触れ、その様子を確かめていた。  そしてゆっくりと振り返り、「王子よ」と、ごく冷静に呼び掛ける。 「ソウレイ様が、ご懐妊召されているか否かについては、まだ『そう』と分かるほどに月の巡りは経ておりませぬゆえ。そのお考えは杞憂かと」 「子は孕んでいないと?」 「おそらくは」  薬師の返答に、アルトナルは、どこか刺々しさをまとった震える吐息でのみ応じた。  そして、     
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