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わたしはしばらく、寝台から出ることを許されず、日に何度も嫌な匂いのする煎じ薬を飲まされた。
その間、「あの務め」からは解放されていた。
政務の合間を縫って、以前よりも頻繁に、アルトナルは、わたしの枕元へと来てくれた。
眠りに落ちていたわたしが、その来訪に気づかぬ時もあったほどに。
後に侍女たちから、それを知らされ、わたしは「なぜ起こしてくれなかったの」と、すこしだけ彼女らを咎めた。
「王子が、アルトナル様が、決して起こすな、ゆっくりと休ませてやれと。そうおっしゃるので……」
ひどくせつなそうにそう答えるから、わたしももう、それ以上に侍女たちを責めることはできなかった。
夜――
続き部屋の扉は、わずかの隙間もなく閉ざされる。
だから、その向こうでアルトナルがどんな時を過ごしているのか、わたしには微塵もうかがい知ることはできない。
でもきっと。
アルにいさまは、「思い合う相手」と共にいらっしゃるのだろうと。
わたしは、そう思わざるを得なかった。
あのひとと、初冬の夜の冷たい肌を互いに暖め合っているのだろうと――
*
「では……我にどうしろと?」
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