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ラクナル国王の亡き王妃ヘルカ。
その実弟の娘であるソウレイとアルトナル王子との婚姻について、臣会は、全会一致でそれを認めた。
婚礼の儀は、春のかかりびの日以後、夏至祭の前までの良き日と定められる。
そして、花々の咲き乱れる初夏の午後。
わたしは神殿へと向かった。
アルトナルは祭壇の前で、わたしを待っている。
花嫁衣装の縁取りは、王の一族だけが纏うことのできる濃紫の絹。
同じ紫、白狐の毛皮に縁どられた長いマントのアルトナルは、仄暗い神殿の中にあってさえ輝くように凛々しかった。
謳僧たちが神々へ祝詞を捧げる中、わたしたちは婚姻の誓いを立てた。
アルトナルが古語の韻律で、わたしを妻とする言葉を述べ立てる。
その荘厳な響きに。
わたしは幸福で心を震わせるはずだった。
そう。
愛しいひとの妻となる悦びに、頬をほのかにそめているはずの花嫁。
そんなわたしのくちびるは、強くさした紅でも隠し切れぬほどに青ざめている。
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