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 ごく穏やかな声音で応じながら、アルトナルは静かに寝台の端に腰を降ろす。 「にいさま、にいさま……」    おずおずと、自らへと伸ばされた折れそうにか細い指先。  アルトナルは、それを握り返した。  そして、金に渦巻く巻毛をそっとそっと撫でる。 「アルにいさまの望みを叶えるためって……分ってるの、でも」  ソウレイのくちびるが、頼りなく音を紡ぎ出す。 「そのためって、わかってるけど……にいさまが、一度もわたしに触れて下さらないのに、なのに、あの男には」 「レイ?」 「いや…です、あんなふうに、にいさまでない男に、おもちゃにされるのは厭」  ソウレイがアルトナルの腕を取って引き寄せた。  自らのくちびるに頬に、そして胸元に、アルトナルの指を触れさせる。  ついには胸の尖りへと良人の指先を導き、震える吐息でソウレイが言った。 「くちづけをくださいませ、アルにいさま、どうか」  そんないじらしくも懸命な幼い妻の願いを、まるで叶えてやらないわけにはいかなかった。  アルトナルはゆっくり身体をかがめると、血の気の薄い淡い色のちいさなくちびるへ、自らのくちびるを押し当る。    ソウレイのくちびるは、すぐに緩んでアルトナルの舌を招き入れる。     
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