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互いの甘い唾液を混じりあわせ、舌を擦り合わせて、貪るように激しいくちづけが交わされた。
処女の透明さの肌を震わせて、娼婦のように淫らな啼き声を上げながら。
口吻の途切れ目には、ソウレイが蜜の滴る吐息を洩らす。
アルにいさま、おねがい、お願いです……と。
すがりつくような懇願に促され、アルトナルは、妻の両胸の膨らみをその掌で包んだ。
指先でちいさな尖りを転がしてやれば、ソウレイが小鳥のさえずりめいて悦びの声を上げる。
そんな。
人妻にして乙女である娘の嬌声と、軋る寝台の立てる音を聴き届けて。
足音を殺し立ち去ろうとするシグルドを、無言のままの眼差しで、薬師がしかと引き留めた。
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